第26章 事変
「………ぅ、っ……!!」
その光景に夏油は顔をしわくちゃに歪ませた。
「キヒッ、惨めだな夏油。その気になれば守れたはずだ。だが、どこかで諦めたろう。それがオマエの敗因だ」
夏油の横を素通りし、法陣を投げ捨てるとドロッと影となり消え去った。
「何を見ている。去ね」
何もできずにただそこにいた男にそう言い放つ。
生き延びたことに歓喜をしている様だが、馬鹿が。
俺の気まぐれという名の戯れの斬撃にすら気が付かんとは。
逃げる男の身体を前後に切断し、俺は軽く息を吐いた。
「!そろそろだな」
身体の主導権が小僧に変わる。
その前に伏黒恵をあの女の場所に連れて行かなければ。
瞬間的に移動をし、元の場所へと戻れば先ほどまで泣き崩れていた夏油が仁王立ちで俺を睨みつけていた。
「私を……人間を舐めてんじゃねェぞ!!何度だって這い上がって、テメェらをぶっ倒してやる!!」
「負け犬の遠吠えか?貴様が俺を倒すか。ケヒッ、ヒヒッ!!いいだろう。その日が来るのを楽しみにしているぞ。今は、せいぜい小僧と共に噛み締めろ」
オマエのせいで人が死んだという事実を。
オマエがいるから人が死ぬという現実を。
脳裏に、記憶に、心に。
しっかりと焼き付けるがいい。