第26章 事変
近寄る隙を与えないようにしているが、伏黒のあの出血量では何もしなくても死ぬだろう。
誰か一人でも応援が来てくれればすぐにでも家入硝子の所に連れて行けるのに……!!
「俺の"十種影法術"は最初にまず2匹の玉犬だけが術師に与えられる」
小路から大通りへと逃げている時、肩で息をしながら伏黒が口を開いた。
淡々と。
なんで今、この状況で、そんな話をしているんだろう。
伏黒は言った。
2匹の玉犬以外の式神を扱うには、術師と玉犬で調伏を済ませなければいけない。
手持ちの式神を増やしながらそれらを駆使し、調伏を進めることで十種の式神を手にすることができる、と。
地面に滴る伏黒の血を時折確認しながら、私は男との距離を保つ。
伏黒の安全を確保しつつ、私は攻撃をするタイミングを見計らう。
万が一、私の術式が男に当たらず反撃されたら真っ先に狙われるのは伏黒だ。
これ以上の致命傷を負わせるわけにはいかない。
悪いけど伏黒、安全圏に行くまで倒れないで貰っていいかな。
「さっきの女の子もだけど、皆すごく強いね。若いのに。特に、君。君はさっきの女の子より強い雰囲気が出てるよ」
「そりゃどーも。オマエは、めちゃくちゃ弱い雰囲気が出てるよ。闇討ちでしか倒す事できねえだろ」
「あっは。すごい洞察力。俺は弱いからね。卑怯な手でも使わないと勝てないんだよ。そのおかげで男の子の方はボロボロになってくれたわけだし」
クスクスと笑う細見野郎。
大通りに出てから距離を縮めようとしてこない当たり、バカではないらしい。