第26章 事変
私と伏黒が戦闘態勢に入った時、身体全体で感じた不気味な気配。
これは……。
「宿儺の指……!!」
「何がどうなってんだよ、渋谷は!!」
"脱兎"で視界を塞ぎ、短期戦でこいつを仕留めようという算段か。
なら、私もサポートに回ろう。
今伏黒が使える式神には脱兎みたいな攪乱できる式神はいないはず。
だったら、私が攪乱するまで。
鍵を取り出し地面に打ち込もうとしたら、呪力の気配を感じ咄嗟にバク転で避けた。
どうやら男は勘で突っ込んで来たらしい。
フィジカルもアジリティも少年院での宿儺よりも上なんだから、嫌になる。
小路へと逃げながら私は男に攻撃をしまくる。
伏黒には呪力はもうほとんど残っていない。
きっと私が来るまでの間に激しい戦いがあったんだと思う。
私にとっても伏黒にとっても唯一のアドバンテージは家入硝子が渋谷にいること。
家入硝子が治せてかつ即復帰できる範囲でこの場を収める。
伏黒も同じことを考えているはずだ。
この後のことも考えて呪力消費は抑えたい所だが、そんなことは言っていられない。
伏黒の式神が壊れてしまえばそこで終わりだ。
手数を減らすわけにはいかない。
逆に私は呪力消費のみだ。
鍵なんてどうとでもなる。
「私の側から離れんなよ」
コースを絞った狭い路地。
伏黒の前に立ち、私はそう言った。
一か八か。
一応領域内に閉じ込めることはできるが、それでもまだ完成形ではない私の領域。
だが、展開をしようじゃないか。
「領域展開"永久錠"」
印を結び、私は自分の領域を広げた。