第26章 事変
まじかよ、嘘だろ。
術式解いてないのに、素の力であれを破ったのか……?
驚きと絶望で動き出すのが遅れた。
たった一瞬の動揺なのに。
もう目の前にはアイツがいて。
咄嗟に顔面を殴られないように避けた。
が、どこか殴られた気はする。
頭の中でデカい音が響いたから。
何かが割れるような、何かが切れたような、何かが爆発したような、そんなデカい音。
何も理解できないまま、私と猪野は屋上から真っ逆さまに落ちていた。
私は一体どこを殴られた。
顔面だろうか。
でも、鼻血が出ている感じはしないし鼻も折れてる感じはしない。
ただ、全身が痛い。
痛い、というかその痛みすら痛いのか痛くないのか分からないほど麻痺してるって感じだ。
「!!」
この声、誰だ。
遠くから聞こえる。
どこから聞こえるんだ。
わからない、全然。
何も。
「しっかりしろ!!」
「…………っ、」
脳が揺れて、視界が揺れて。
意識がはっきり戻る時には、私はなぜか虎杖の腕の中にいた。
「え、なんで?」
「上から落ちてきたんだよ!!」
「上……。!!猪野は⁉」
「猪野さんは……」
歯切れの悪い虎杖。
ちらりと、横目で見ると伏黒の腕に猪野の姿があった。
気絶をしているのか、死んでいるのか分からないほど重症だ。