第26章 事変
「びくともしねえな……」
"帳"を壊す、というミッションが与えられた私たちはビルから降りて早速ぶっ壊しにかかった。
4人の中で一番頑丈であり力があるのは虎杖だ。
その虎杖のパワーでさえ、ヒビ一つ入らないとなると相当強固な"帳"だ。
どこか脆い所を探して中に入らないと何も始まらないのに。
「えっ。なんで?」
ごく自然にナチュラルにそこらへんにいた改造人間を素早く倒し素早く戻ってくる虎杖。
なんだろう、コイツだけ異次元の世界の住人なんだよな。
そんな事を思っている私とは違い、先輩である猪野が丁寧に虎杖に説明をしていた。
「なんでって……。いいかこれは、"術師を入れない帳"。つまりバリアなんだよ。バリアってのは自分を守る……囲うもんだろ?」
「原則として、"帳"を降ろしてる奴は"帳"の中にいるんだよ。こういう場合はな」
「でもさ……」
猪野と私の言葉に虎杖は原宿で呪霊と戦った時の事を話してくれた。
どうやら、原宿で"帳"を守っていたバッタの呪霊は"帳"の外にいたと語った。
「……成程!!」
虎杖の言葉に猪野は目を大きく見開いた。
「"帳"で自信を囲わずに外に出ることで、発見・撃退されるリスクを上げて、"帳"の強度も上げる………」
「コロンブスの卵……ってか?」
「なにそれ」
「だれでもできそうなことでも、最初に行うのはむずかしいって意味だよ。ことわざな」
「へぇ」
「でもさ、結界術の基本をガン無視してんだろ、それ」
虎杖にコロンブスの卵について説明した後、猪野に視線を移した。
猪野は「とんでもねぇ奴だ」と吐き捨てながら、虎杖の一撃で破れなかったことに納得しているようだった。