第26章 事変
「は私達に仲間だったんだよ。君を殺したいと言うからこちら側へと引き込んだんだ」
「嘘を言うな!!私はお兄ちゃんと同じ道になんか行かないって決めたんだ!!なんでそんな嘘つくの⁉なんで私との約束を破るの⁉」
胸が痛い。
今にも張り裂けそうで、裏切られる気分ってこんなんなんだ。
酷い、酷すぎる。
大好きだったのに。
強くて優しくて、少し意地悪だけど。
大好きだった。
自慢の兄だったのに……!!
私の悲痛な叫びがホーム内の木霊する。
悲しくて辛くて苦しくて、今にも零れそうになる涙をぐっとこらえた時。
今まで黙っていた悟が口を開いた。
「誰だよ、オマエ」
冷たい声に肩が大きく跳ねた。
私に向けられたものだと思ったが、どうやらそれはお兄ちゃんに向けられたものらしかった。
悟は目の前のお兄ちゃんがお兄ちゃんではないと否定する。
何を言っているのか全く理解できなかったけど、それはお兄ちゃんの次の行動で全てを理解した。
額の縫い目を解いた頭部の中を露わにしたお兄ちゃんは、偽物だった。
我慢していた涙が一気に零れ落ちる。
ボダボダと地面を濡らす私の涙。
偽物のお兄ちゃんは悟に何かを話していたけど、私の耳には何も入ってこなかった。
ただ、目の前のお兄ちゃんが偽物であることやそれを見抜けなかったことに苛立ちや悔しさなど、混濁した気持ちで埋め尽くされていた。
「……………んな」
気付いたら小さく声が漏れていた。
「…………けんな」
偽物に対して。
「…………ざけんな」
自分に対して。
ムカついてしょうがない。
お兄ちゃんの身体を勝手に使っていいと思ってんのか。
大好きなお兄ちゃんが本物か偽物かもわかんねえのか。
ムカつくムカつくムカつく。
許せない、殺してやりたい、今すぐにでも。