第26章 事変
――夏油side――
私を見る悟の目が変わって、私の心臓は冷たく冷え切っていく。
私も悟もお互いに動けなくて固まっていると、いきなりお兄ちゃんが私の体を引き寄せ、キスをしてきた。
口内に入り込むお兄ちゃんの舌は、暴れる私の舌をいとも簡単に捕まえて何度も何度も絡めとった。
息ができなくて酸素を取り込めば零れ落ちる私の声。
最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪!!
なんでこんな……兄妹同士で……。
どんなに暴れても身動き一つできなくて、解放される頃には私の息は上がっていた。
ゆっくりと顔を上げると悟の身体からは何かが生えていて、力が入らないのか片膝をついていた。
鋭い眼光が私を映していて、酷く怒っているのがわかる。
また裏切られたと、目がそう言っていた。
違う……、違う……、裏切ってなんかいない。
私はただ……。
口を開いて否定しようとしたけど、バカの一つ覚えみたいに「違う」としか言えなくて、もっと他に言う事あるだろ。
もっとちゃんと説明しないと悟は私を信じてくれない。
こんなことになるなんて知らなかった。
私はお兄ちゃんの言葉を信じて……、お兄ちゃんのせいにしたくないけど、でも……!!
「ありがとう。君の協力のおかげだよ」
なに、言ってんの?
協力って何……。
仲直りの協力はするって言ったけど、封印の協力をするなんて言ってない!!
「何言ってんの、お兄ちゃんが悟と仲直りしたいって言うから……」
「そう言っておびき寄せてくれたんだね。流石、私の妹だ」
「違う……、違う……」
意味が分からない。
混乱したままの頭では正常に思考が機能してくれない。
もしかして、お兄ちゃんは私を騙したの。
私を利用したの。