第8章 ハンモの洞窟
繁茂の洞窟にやって来て、まえよんたちはそれぞれバケツにウーパールーパーを捕まえた。
「あれ、俺バケツないや」
とコハロンは自分の手持ちにバケツがないことに気づき、ぎぞくに何をしているとお叱りを受ける。ごめんごめんと謝ったが隣でウパちゃんが笑ったからコハロンも笑うことにした。するとぽんPから「反省してる?」という言葉を頂戴する。
「ねぇ、コハロンっていつもみんなに怒られてるの?」
ひとしきりやり取りしたあと、ふとウパちゃんがそう聞いてきた。コハロンはいや、とすぐに答えようとしてヒカックが出てきた。
「この人何やっても覚えないのよ。ウパちゃんも叱ってやって?」
「え、そうなの?」ウパちゃんの丸い目がコハロンを見上げる。「ウチのことは覚えてたのに?」
「ウパちゃんのことは忘れないよ」
コハロンは即答したが、即答したのがよくなかった。
「じゃあ僕のことは忘れるんだね、酷い」
「いやいやいや、そこまでは言ってないが……」
「じゃあなんで、ウパちゃんはって言うんだよ、ウパちゃんはって!」
ヒカックの愛情の裏返し? は時々……いや、ほぼ毎日拗らせ気味だが、そこにぽんPのトドメが来るまでがまえよんセットになりつつあった。
「女の子のことはよく覚えてるだけでしょ」
「え、そうなの?」
ウパちゃんはコハロンに驚いた目を向ける。コハロンは狼狽えたが、ぎぞくは完全に三人の会話を無視した。
「はい、ウパちゃん。あのおバカお兄さんのことは放って置いて、ぎぞくお兄さんと一緒におデートしよっか〜」
「うん!」
見るとウパちゃんはすっかりコハロンから離れてぎぞくについて行く。後ろの背広みたいなのはウーパールーパーの尾ヒレみたいなものみたいだ。ピンクがヒラヒラとしてコハロンはつい目を奪われる。