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世界の終わりに君と[me4]

第16章 影


「これっていつもこの世界にあるものじゃないよね?」
 この世界に疎いコハロンでも、破壊し尽くしている影が異常であることはすぐに分かった。
「こんなの今までなかったじゃん! どうしてこんなことに……」
 とヒカックは言葉を失う。
 その横ではぎぞくが顔をしかめて考え込み、ぽんPがますます不穏なことを言い出したのだ。
「なんか、おかしいと思ったんだよね。この時間ならいつもいるきおきおさんもいないし、他のアツクラメンバーもログインしてこない」ぽんPはこちらを振り向く。「ここって、いつも自分たちがログインしていたアツクラなの?」
 穏やかな口調ながら、いつも真っ直ぐと何かを見抜くぽんPの言葉は重い。ぽんPはまえよんメンバーから、ウパちゃんへと視線を投げた。
 ウパちゃんの顔は複雑だった。
「本当は」ウパちゃんがゆっくりと話を続ける。「ここはバグ様が支配する世界。ここはバグ様の世界になるの」
「え……」
 コハロンはどういうことか分からなくてみんなを見回す。みんなも意味が分からないといった顔で首を傾げたり黙り込んだりしている。そうしている内にも、影がどんどん周りの景色を飲み込んで何もない世界になろうとしていた。
「本当はみんなをエンドに連れて行って誰もいない世界にするはずだった……」ウパちゃんはコハロンをもう一度見つめた。「ウチはコハロンやヒカックたちを見て分かった。壊すことだけが、正しいってことじゃないこと」
 それからウパちゃんは、一歩前に出た。コハロンたちは、ウパちゃんがこれから何をするのか分からなかった。
「ウチ、バグ様止めてくる! 終わったらみんなで爆発ごっこしようね!」
「え」
 ウパちゃんは走り出した。何を、と言い出すより早くまずはぎぞくがウパちゃんの手首を掴んだ。
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