第14章 地下へ
ざぱぁっ……!
穴に落ちたコハロンは痛みを覚悟したが、落ちたのは水溜まりで無傷だった。
しかしここはどこなのか、と暗闇に目を凝らすと奥がぼんやりと明るくなっていて、もしかしてウパちゃんがいるのではないかと近づくと、声が聞こえてきたのである。
「この世界を壊すのはやめましょうよ、バグ様」
この声は明らかにウパちゃんだったが、あの幼い話し方をするウパちゃんではなかった。誰かいるのか……? と岩陰から明るい方をそっと覗き込むと、ピンク色のヒラヒラが見えてコハロンはぎょっとした。
「何を言っている。お前は早くアイツらをあの場所に誘導するだけでいい。なんのためにお前をあの爆発から救ってやったと思っているのだ」
「それは……ありがとうございます……」
どういうことだ……? コハロンはウパちゃんと話す誰かとの言葉がよく分からず立ち尽くしていた。そこに後ろからざぱぁと水飛沫が飛んできた。
「あ、コハちゃん、無事だったんだね」
「ヒカック、今はちょ……」
「誰かそこにいるの?」
ヒカックの声でコハロンが隠れていたことがウパちゃんたちにバレてしまった。コハロンが制止を促したがもう遅い。
「あ、コハロンにヒカック! 無事だったんだ!」
そうして奥から出てきたウパちゃんは、いつも通りだった。まぁね、とヒカックは普通に受け答えだが、コハロンはたった今見たウパちゃんのギャップに理解が追いついていなかった。
そこにヒカックが顔を覗き込んできてどうしたの? と聞いてきた。コハロンはなんでもないと言い切ることも出来ずに曖昧な返事をして話を流した。