第11章 花
「ここは……?」
ウパちゃんを連れて次に案内したのはきおきおさん拠点だ。
「最近きおちゃん建築頑張ってたよね〜」
とヒカックが言い、階段の方に向かう。
「ケンチク……?」
一方のウパちゃんは、なんのことだろうと首を傾げている。そこにヒカックが目の前にブロックを置いた。
「こうやってブロックを置いて積み上げたりして色んなものを作るんだよ。それを建築って言うんだ」
「へぇ〜」ヒカックの置いたブロックと周りの建築物を見回すウパちゃん。「でも、このアツクラ、いつかは終わっちゃうんでしょう? 終わるのに、建築するのはどうしてなの?」
「それは……」
「ウパちゃん、これ見て」
そこに何かを持ってやって来たのはぎぞく。ぎぞくはピンクの花を持っていた。
「ウパちゃん、これ見て何を思う?」
「え」
ぎぞくの手にある花を見て、ウパちゃんは考える。それからぱっと顔を上げてウパちゃんはすぐに答えた。
「キレイ!」
「そ、キレイでしょ?」とぎぞくは話し続ける。「でも、この花はいつか枯れます。花は、枯れるために咲くんだと思いますか?」
思えばぎぞくの持っている花は桜だった。桜は儚いものの象徴だ。ウパちゃんはなんて答えるのだろう。
「うーん……」
「ウパちゃんにキレイって言ってもらうために咲いてるんだよ」
悩むウパちゃんに助け舟を出そうとコハロンがそう言うと、横でぽんPがクスリと笑った。
「頭お花畑だからね、アナタは」
「は? どういうことだよ」
けれどこのやり取りはウパちゃんにとって面白いみたいで、そこでケラケラ笑っている。ウパちゃんが笑うとみんなの空気感も和やかになるみたいだ。
ひとしきり笑い終わると、ウパちゃんがぎぞくから桜の花を受け取ってこう言った。
「ウチも何か建築してみたいな〜、みんなにキレイって言ってもらえるかな?」
「じゃあなんか作ってみる?」
とヒカックが提案した。動画になりそうだし、難しいことは出来ないけど、と付け足して。
「けど何する?」
ぎぞくがそう聞いてみんなを見回す。コハロンも考えたが何も思いつかない。そこにぽんPがこんなことを言い出した。
「TNTやってみる?」
「TNT……?」