第1章 運命の出逢い。
声が出ない、、、、。
つまりこの女は探し求めていた彼女ではないことだ。
人違いだったのだ。
いつもならそこで終わる。
はずだったが、今回は違った。
もっとこの女を知りたいと思ったのだ。
タケル「怪我してる。立てる?」
餓鬼の言葉に再び女を見ると、足から出血していた。
女は大丈夫と云っている気がしたが、俺は女を横抱きにした。
突然のことに驚いた顔をする2人。
「俺の不手際で手前に怪我させちまった。治療させてくれ、手前もついてこい。」
女の有無も聞かず、部下を仲間に運ばせ、俺は女を医療班が待機している場所へ連れて行った。
「手前は怪我してねぇか?」
タケル「手前じゃない、タケル。うん、が守ってくれたから。」
「そりゃ、悪かった。俺は中原中也だ。」
女が治療している間、タケルと話をした。
女はという名らしく、俺と同い年の22歳で児童施設の職員。
声は出ないが、耳は聞こえているらしい。
声が出ないのは幼い頃のショックが原因だそうだ。
タケルは9才で2年前に両親を事故で亡くし、親戚の中でたらい回しにされていた。
そして最後は施設へと送られたのだ。
心を閉ざしたタケルに寄り添ったのがだった。
そんなに次第にタケルも心を開くようになったそうだ。
そしてと会話したいと思い手話を覚えたんだとか。
来週の誕生日らしく、タケルはこっそりプレゼントを買いに街へ出てきたらしいのだが、こんなことに巻き込まれた挙句に怪我をさせてしまったということで落ち込んでいた。