第6章 すれ違い
どこまで走ったのだろう。
気が付けば、街から外れた河原にいた。
あの場に中也くんが来た時点で、全てが繋がった。
中也くんはポートマフィアの幹部だったのだ。
きっと私に接触してきたのは、あの手配を見たからだろう。
組合に捕まった後、太宰さんから聞いたのだ。
闇のオークションで私に80億円の懸賞金がつけられていたことを。
最初は私の異能力がバレてしまったのかと焦ったが太宰さん曰く、社長の娘のような存在の私を人質に取る為だろうとのこと。
敦くんもその懸賞金目当てでポートマフィアに狙われていたし。
きっとたまたま私を見つけた彼は私を捕まえるタイミングを伺っていたのだろう。
でも、そんなタイミング沢山あったはず、、、。
何故今まで捕まえなかったのだろう、、、、。
そんな疑問も生まれたが、そんなことよりもやはりショックだった。
髪につけていた、髪飾りを手に取った。
「好きだ、。」
あの言葉も、彼の笑顔も、優しさも全て嘘だったのだ。
きっと彼が好きな人はあの着物を着た女性だろう。
私なんかよりも彼に相応しい。
とても綺麗な人だった。
やはり私は恋をするのには向いていない。
私は髪飾りを捨てた。
彼のことを忘れる為に、、、、、。
自然と頬から涙が溢れた。
探偵社に戻るにも、涙が止まらない。
いっそのこと枯れるまで泣いて帰ろう。
きっとみんな心配するから、、、、。