第5章 初めてのデェト
「やっぱり土曜だと人が多いな。」
ヨコハマ唯一の水族館は土曜日ってこともあり家族連れやカップルで賑わっていた。
大きな水槽に映る私たちは側から見たらカップルに見えているのかな、、、。
水槽をぼーっと眺めているとそっと手を握られた。
吃驚して中也くんの顔を見上げると、、、、
「嫌か、、、、?」
そんな訳ない。
首を横に振ると、彼はニコッと笑顔になった。
中也くんの手は私よりも大きくて、あったかくて安心する手だ。
繋いだ手は互いに自然と指を絡ませていた。
この時間が永遠に続いて欲しいと心の底から願った。
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水族館は人が多く、どこのエリアも賑わっていた。
は水槽の中を真剣に覗いていた。
俺のことも見てくれと思っちまった。
頭より先に身体が先に動き、自然に彼女の手を握っていた。
驚いた表情をしたがすげぇ可愛かった。
嫌かと聞けば、首を横に振る彼女につい頬を緩ませちまった。
気が付けば、自然と指を絡ませる形になっていた。
本当はこのまま抱きしめたかったが、流石に外だからなんとか抑えた。
そんなこんなでと水族館を楽しんだ。
楽しい時間はあっという間だった。
気が付けば陽は落ち、あたりはネオンでヨコハマの街を照らし始めていた。
「まだ時間いけるか?」
俺の問いに頷くの手を引き、ある場所へ連れて行った。
そこはヨコハマの夜景がよく見える場所だった。
は目を輝かせて、夜景を眺めていた。
その横顔は夜景よりも美しかった。
「俺の気に入っている場所だ。ヨコハマの街を見渡せる。」
は振り返り、携帯に文字を打ち画面を見せてきた。
"今日は凄く楽しかった!ありがとう!"
「そりゃ善かったぜ、俺もすげぇ楽しかった。あとこれ、、、」
俺はポケットに手を突っ込み、ある物を取り出した。
は不思議そうに首を横に傾けた。
「今日誕生日なんだろ?おめでとう。」