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人魚姫 【文スト/中原中也】

第4章 忍び寄る魔の手


彼女の身体は木の幹で覆われており、ぐったりしていた。

俺の問いにも全く反応しない。

慌てて呼吸を確認する。

弱いがまだ息はしていたので、安心した。

もう一本のナイフで幹を切り落とし、の身体を木から引き剥がした。

「、しっかりしろ!」

彼女の手や足、首には痛々しいほどの跡が残っていた。

恐らく拷問を受けていたのであろう。

「チッ、彼奴らもっとボコボコにすりゃ善かった。」

『ッ、、、、』

「はっ!っ!!」

が目を覚ましたのだ。

『ッ!!!』

「うぉ!///」

俺を確認した瞬間、は俺に飛びついてきたのだ。

驚いたが、すぐに彼女を抱き留め、震えるの背中に手を回し、抱きしめ返した。

「遅くなって悪かった。もう大丈夫だ。」

は首を横に降り、ポケットから携帯を取り出し文字を打ち始めた。

"助けに来てくれてありがとう。"

目を潤ませ、にっこりと微笑む。

一際目立つ首の跡にそっと触れた。

「もっと早く来れれば、手前にこんな傷負わせなくてすんだのに。本当にすまねぇ。」

の手がそっと俺の手に重なった。

目線を彼女に向けると、は首を横に振り再び微笑んだ。

微笑んだ際に、目から一筋の涙が溢れた。

そっと頬に触れ、涙を拭いてやる。

「、、、、。」

引き寄せられるように互いの距離が縮まるとはそっと目を閉じた。

そしてあと数センチで唇が重なり合う距離まで近づいた、、、、。






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