第13章 人魚姫
太宰くんから、私が姿を消してからのことを聞いた。
敦くんとポートマフィアの芥川さんが共闘して、共喰いの異能力者を捕まえたこと。
フョードルを無事に逮捕できたこと。
中也くんが、数日間ポオさんの小説世界に閉じ込められてしまっていたことなど、、、。
久しぶりに人と会話できてとても楽しかった。
『善かった、、、、。』
太宰「本当にこれで善かったのかい?」
『はい、最初からこうするべきだったの。私の存在が無くなれば共喰い事件も起こらなかったかもしれないし。』
太宰「そうかい、、、。でも中也の気持ちはどうだろうね?」
『中也くんの気持ち、、、?』
太宰「きっと中也はちゃんのことを忘れたとしても、7年前のことは覚えている。また彼は君を探し続けるよ?」
『ッ、、、、でも彼には野村さんって人がいるから、、』
太宰「彼女は処刑されたよ?」
『えっ?処刑、、、?』
太宰「恐らくフョードルの仕業だ。態と君と中也を引き離すために彼女をポートマフィアへ送り込んだんだ。」
『そう、、、だったんだ。でも中也くんには私よりも相応しい人がきっといる、、、』
本心だった。
中也くんには幸せになって欲しい。
私なんかよりも彼に相応しい人はいるから、、、。
太宰「そうかい、、、。また逢いに来てもいいかい?」
『勿論。ありがとう、太宰くん。』
きっと太宰くんは私のことを気に掛けてくれているのだろう。
また数日後に来ると云って太宰くんは小説世界から去った。
左手の薬指に光るモノをそっと撫でた。
彼が忘れてしまっても、私が覚えている。
彼から貰った沢山の愛を、、、、。
だから、これでいいんだ。
1人で納得をし、私は再び海を眺めた、、、、。