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人魚姫 【文スト/中原中也】

第12章 探し求めていた彼女


「順番にやるか?それとも全員一度にやるか?どうする?俺はどっちでもいいぜ?」

その時だった。
目の前にいた探偵社達が消えていったのだ。

「幻像の異能力者か、、、」

まんまと探偵社の策略に騙されたのだ。

谷崎「賢治くんが壁を抜いて社長を運び出した。社長も社員もとっくに病院を脱出している。」


芥川「包囲を欺いて社員を逃す為、命を捨てて囮になったか。」

谷崎「命は捨ててない、乱歩さんから伝言を預かってる。」

伝言は5時間以内にウイルスを作った異能力者を捕まえるとのことだった。


「チッ、、、。」

確かに、共喰いの異能力者を捕まえることができれば首領の命を救える。

それに、探偵社社長を殺さなくて済むのだ、、、。

信じた訳じゃねぇ。

でも、僅かな光に俺はかけた。


兎も角、此奴を捕まえるか。

探偵社の奴に近づいた時だった。


『〜♪、〜♪』

この歌声、、、

慌てて振り向くも、野村は慌てた表情を浮かべているだけで歌ってはいなかった。

目の前に現れた人物に息を呑んだ。


谷崎「さん!」


「、、、?」


紛れもない、だった。


この歌声は間違えねぇ。

あの時の歌声そのものだ。

つまり、あの時の少女は野村ではなくだったと云うことだ。


樋口「えっ、、、?身体が動かない、、、。」

芥川「なにっ!?糞っ、異能力も使えない。どういうことだ!?」

俺以外の奴らは身体が動かなくなっているようだった。

そんなことよりも俺はに聞きたかったことを聞いた。


「、手前がそうだったのか、、、?」

『黙っていてごめんなさい。私の本当の異能力を知られるわけにはいかなかったの。』

そっとの頬に触れる。

「昨日はすまなかった。あれは事故だったんだ。」

『私も急に逃げ出してごめんなさい。事故だって判ってたけど、やっぱり嫌だったの、、、。』

「俺が愛してるのは手前だけだ、、、、。」

『中也くん、、、私も愛してる、、、』

そっと重なり合う唇。

部下達がいたが、構わなかった。

何度も、何度も唇を重ね合った、、、、。



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