第12章 探し求めていた彼女
「んっ、、、ンで泣いてんだ?」
唇を離すと、の目からは涙が溢れ出していた。
その意味が判らなかった。
はそっと俺から離れた。
何故か嫌な予感がした。
と逢えなくなる。
本能がそう訴えるのだ。
彼女の手を掴もうとした時だ、、、、。
「ッ!、どういうことだ?」
身体が動かなくなっていたのだ。
『中也くん、今までありがとう。中也くんと付き合えて、沢山愛してもらえて私凄く幸せだった。』
涙を流し乍ら、必死に笑顔を作る。
「、、、急になに云ってやがる」
必死に身体を動かそうとしても、全く云うことを聞かない。
頼む、動いてくれ!!
必死に力を入れてもびくともしねぇ。
「、行くな!」
『中也くん、幸せになってね、、、、。さようなら。』
そっと俺に口付けをした瞬間、意識が飛んだ。
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フョードル「待っていましたよ。さぁ、行きましょう。」
手を差し伸べる手を、私は、、、
フョードル「何のつもりですか?」
振り払った。
『私は貴方とは行きません。』
フョードル「いいのですか?貴女の大切な人たちが死んでいきますよ?」
『そんなことさせません。』
フョードル「ではどうするつもりですか?」
『私の異能力、セイレーンは代償が必要なんです。私は一度、声を代償にしました。でも、声よりも大きな代償と引き換えに私は声を取り戻した。』
フョードル「代償は一体なにに、、、?」
『私のことを知っている全ての人たちの記憶から私を消すことにしたんです。それは"死"と同じようなもの、、、。』
フョードル「いいんですか?探偵社社長は死にますよ?」
『死にません、探偵社の皆んなが必ず救ってくれる。私は皆んなを信じていますから。』
フョードル「ッ、、、。今回は僕の負けですね、、、。」
『ええ、貴方の負けです。さようなら。』
私は乱歩さんから受け取った物を手に取り、ページを開いた。
そして私の身体は眩い光に包まれた。
一冊の本が地面に着いた瞬間、全員の記憶から私は消えた。