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人魚姫 【文スト/中原中也】

第12章 探し求めていた彼女


久しぶりに街に出た。

家で1人でいると落ち着かなかったから、、、、。

左手に自然と目がいく。

きらりと光る指輪。

昨日中也くんからプロポーズをされたのだ。

指輪を見る度、夢じゃないと実感する。

与謝野さんたちにも早く報告したいが、相手はポートマフィアの幹部だ。

探偵社とは敵対組織。

中也くんと話して、明日中也くんが挨拶をしに来てくれることになったのだ。


社長には話したいことがある。とは今朝伝えた。

ソワソワして家にいると落ち着かないので、外に出た。

街を歩いていると、彼を見つけた。

隣を歩く女性はとても綺麗な人だ。

なんとなく、中也くんが話していた人だと判った。

彼女が何故、私と彼との出逢いを知っているのか疑問だったが、風の噂などで知ったのかな?程度にしか考えていなかった。

中也くんは幹部だし、顔も格好善いし、紳士的だ。

モテるに決まっている。

だから彼女は中也くんに好意があるんだろうな、、、っと思った。

あんな綺麗な人がいても、中也くんは私を選んでくれた。

それが嬉しかった。

でもやはり、気にはなる。

自然と足は2人を追いかけていた。


曲がり角で2人の姿が見えなくなったので、慌てて追いかけると目の前の光景に一瞬呼吸が止まった。


中也くんとその人が接吻をしていたから。

何かの間違えの筈、、、

頭ではそう思っても、心はついていかなかった。

一刻も早くその場から立ち去りたかった。

中也くんの手を振り払い、私はその場から逃げた。

家に帰ると、私の部屋の前に太宰くんがいた。

太宰「ちゃん?どうしたんだい?」

太宰くんの顔を見た瞬間、堪えていた涙が溢れ出した。

そんな私を見て、太宰くんは私を抱き寄せた。

私が落ちつくまで彼は、何も聞かずただ、抱き締めてくれた。



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