第12章 探し求めていた彼女
「お疲れ様さん!」
"中也くんもお疲れ様!"
いつも通り彼の車に乗り込むとふわっと甘い香りがした。
なんとなく、女性のような気がした。
胸の奥がほんの少しざわついた。
今日の中也くんはやけに嬉しそうだったので、聞いてみると彼の言葉に耳を疑った。
「実はな、7年前に俺を助けてくれた奴に逢えたんだ!」
そんな筈はない。
何故なら、彼を助けたのは私だから、、、、。
でも、本当のことは云えなかった。
異能力がバレてしまうから。
それに、、、、
中也くんの顔が凄く嬉しそうだったから、、、、。
"善かったね!"
「ああ!」
私はそれしか云えなかった。
心の中はざわめき、少し不安になった。
もしかしたら中也くんはその人の元へ行くのではないかと、、、。
そんなことを考えてしまった。
その時だ。
ぎゅっと手を握り締められた。
「ンな顔すんな。俺が愛してんのは手前だ。。」
『中也くん、、、』
そっと口付けをされる。
にっこりと微笑む彼の顔に嘘はなかった。
「もしかして嫉妬してくれたのか?」
彼の言葉に頷くと、嬉しそうな顔をする中也くん。
「俺が手前一筋だって知ってんだろ?今日は俺の愛をしっかりと判らせてやる。」
中也くんの瞳がギラリと光った。
この言葉通り、夜が明けるまで彼に愛され、彼の愛を身体に刻まれたのであった。