第1章 開口一番
平日とはいえ、街には何人かたむろっている人たちの姿。その中に知っている顔があったので、私は特に用もなく彼らのもとへと足を進めた。
「よ!珍しいな、一人で来るなんて。」
「どうした?とうとう、家出か?」
門田京平、通称ドタチンと渡草三郎が気付き声をかけてきた。横から遊馬崎と狩沢も手を振る。いつもの四人にいつものワゴン。彼らも私の数少ない友達。
「なになに~?もしかして喧嘩??」
ニヤニヤと笑うオタク二人に向かって首を振る。ドタチンが苦笑気味に言った。
「お前のことだ、家出じゃなさそうだな。仕事…ってわけでもなさそうだが…?」
「マリリンに限ってそれはなかったか~。仲良しだもんね!」
「仕事じゃない。遊びに来ただけ。」
そう言うと一瞬四人の視線が私に集まったまま止まった。不思議に思って首をかしげると自分もその理由が分かって納得した。