第1章 開口一番
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街はいつでも変わりない日々を送っている。遊休と言われても特に用事はない。だけど、せっかく貰った時間を無駄にしたくはない。一つ思い浮かんだ場所。
向かった先は池袋。
正直、ここへいくのはどうかと思うが気にしない。会うのは彼女だけだから。
人込みの中、様々な人を目で追いかけながら街を行く。周りから溢れる音の波。空気の流れ。風を受けて揺れる並木。
「ん?オォ!マリア!」
いつもの場所で声をかけられ横を向くとサイモンが笑顔で見下ろしていた。手にはいつものビラを持ち、今日も呼び込みをやっている。
「今日一人?スシ食べてくヨ。」
「一緒に行くよ。後で。」
「二人はいつも一緒ネ。いいこと。幸せネ、特別サービスするヨ。」
「ありがとう。」
手を振り別れる。露西亜寿司にはいつもお世話になっている。私は此処の常連でお店の人たちとは良く知った顔だ。大抵行くのは夜半で、出前も頼んだりしている。
ここはいろんな人たちが出会い知り合いそして別れていく。