第4章 衣香襟影
それは何も反応を示さない。
突風が吹いたと思うと、彼らの首のまわりに透明ななにかが巻きついていた。透明な何かはがんじがらめに彼らをからめるとぎりぎりと締め上げていく。
不思議なものだ。透明なのに目に見えるんだ。いうなれば、ガラスかな?
周りに散らばるカラーギャングの体と、残された俺とそれ。その時それの顔には、赤い瞳と頬に流れるのは赤い涙。
これは人間ではない。
面白くって面白くってたまらない人以上の物を見つけた。運び屋もそうだけどさ、少し違うんだよね。
それから俺はそれに執着するようになった。
「おいでよ。隠してあげるから。」
何の反応も示さないから言葉が通じたか分からないけど、ついておいでと手招きをするとそれは大人しく俺の後を音もなく付いてきた。ホント不気味だったよ。