第4章 衣香襟影
俺がそれと出会ったのは俺が高校を卒業した後のことで、まさかこんなにも興味深い生き物と出会うとは思いもしてなかった。
いつもの通りシズちゃんを挑発しようとして池袋をぶらぶら歩いてた。夜の街をね。
雨が降り始めたから店先で雨宿りしてた。だんだん酷くなってきたからなにか面白いことができないか待っていたら、ふと後ろの方の暗い路地でそれを見かけた。
それと、それを囲む数人のカラーギャング。雨しのぎで退屈してたから見学しようと見てたんだけど、あんまし言いたくないけどそれはとても美しかった。
日本人のように黒髪だけど、顔立ちは日本人離れしてさ。
俺は迷わず屋根の下から出てそれと、カラーギャングの集団に近づいた。
「なんだ、てめぇ。」
案の定カラーギャングの一人が威嚇してきたから俺は笑った。別に、面白そうだったから見てるだけだけど?
見るとそれはフードをかぶってびしょぬれの服を着ていた。傍にはびしょぬれの原因であろうバケツが転がって雨に打たれている。
「一緒に帰らねぇと、痛い目みるぜ。上からにゃ、傷つけてもいいって言われてんだ。死なない程度にな。」
先頭にいた奴が笑う。なるほど、違法滞在中の外人かもしくはどこかから亡命してきたお嬢様か。