第3章 跳梁跋扈
「いじめ。かっこ悪い。実によくない。」
全員の視線がこちらに集まる。
「おっさんには関係ねぇだろ。」
「あぁ。君達がここで殴られようが野垂れ死のうが関係ない。俺が君達を殴っても、君達がまだ23歳の俺をおっさんと呼ぼうが、君達と俺との無関係は永遠だ。」
「はぁ?」
長々と理屈を並べ立てるが、私に言わせればおっさんと言われたことに少し腹が立ったのだろう。この時ばかりは、少しだけ同情してあげようと思う。
「…人間って希薄だよね。ま、俺に女の子を傷つける趣味はないけど…」
ふと風切り音がして、真ん中にいた子のバッグの手持ち部分が切れ、地面にどさっと落ちた。
何が起こったかなんて、見えてるはずもない。
「だから、女の子のケータイを踏みつぶすことを趣味に…」
そういって、バッグから転がり出たピンクのケータイを拾い上げる。
「…するよ。」
ケータイを落とし、瞬間足で踏みつける。それはそれは楽しそうな笑い声をあげながら。
「何こいつ?!」
私はただ、遠慮なしにケータイを踏みつける臨也と驚いている彼女等をただじっと見ていただけ。