第1章 開口一番
私はベッドから起き上がると、そっと物音を立てずに部屋を出た。バスルームへ行き冷たい水で顔を洗う。寝起きの顔がシャっキリとしたところで、キッチンへ行き朝ごはんの支度をする。
いつもと変わらない、日常。
パンをトースターにセットし、コーヒーも入れてある。まだ眠いのか小さく欠伸をしながら先ほど私が出てきた部屋へと戻り、カーテンを開けた。
暗かった部屋に明かりが照らし、後ろでもぞもぞ動く気配がする。
「…ん、あぁ、おはよう。マリア。相変わらず君は日光と友達のようだ。毎日この時間は変わらないね。」
人を見下したような笑い顔。寝起きの顔とは思えないほどの外道さ。
影の権力者。優秀な情報屋。
そう、私は折原臨也と共に住んでいる。