第2章 一虚一実
軋んだ音を立てドアを閉めると、先ほどとは打って変わって全く違う静けさがあたりを包んだ。臨也はもう一つの違う扉を開けると再び外に出た。そこからは先ほどの屋上が上から見下ろせた。
私もドアから顔をのぞかせた直後、少女の体は下へと消えた。
臨也の顔に不敵な笑みが顔をのぞかせ、私の顔を覗き込む。
「さて、彼女は死ぬか、否か。」
夜の明かりに照らされた顔には、涙の影すらなかった。
飛び降りた少女の知らないところで、現実は姿を変えて現れる。
給水塔を背に座りながら二人はじっと無表情でそこにいた。
「また、余計なことを…」
コンクリートにまた一本線が刻まれた。