第2章 一虚一実
「そうなの?」
「話の腰を折らない。君だけに特別に情報提供しているんだ。無料でね。」
『平気です。知ってほしいんです。何も変わりませんでした。母が黙っていたのか私が知らないところで両親が話しあっていたのか分かりません。父のつまらない冗談も、母の甘過ぎる煮物の味もとにかく何一つ変わりませんでした。…なら、試しにいなくなってみようかな…って、ここ最近ずっとそんなこと考えています。』
『僕も同じような感じだな…マゼンダさんほど深刻じゃないかもしれないけど。』
『何があったんですか?』
『付き合ってた子がいたんだけど、僕の父親と出来ちゃって…』
『酷い。』
『でも、一番許せなかったのが母親で…』
『なんて言われたの?』
『良くあることだし、世間体もあるから騒ぎたてるな、って…自分がどう思ってるかなんて一言もなくてそれって、僕より対面のほうが大事なんだなって思って…でも、僕の将来のこととか考えてくれてたからかもしれないんだけど…』