第24章 ラッキーカラー
そういう蜂楽だって、細身の体でいてすごい筋肉。
きゅるんとした可愛い顔とのギャップに、キュンとくる女子は多いはず。
現に私だって、17歳になった“男”の水着姿を……
こんなにも意識して、ドキドキしてる。
「俺、飲み物買ってくる♪さすがに冷たいのでいいよね?」
「一緒に行くよ。廻から離れちゃダメなんでしょ?」
「水着見て思った。できるだけ男の目に晒したくない!夢ちゃんはテントで大人しくしてること!」
「どーやって海遊びすんの…。それに廻だって、他の女の子にデレデレしたりするんじゃない?」
「俺の股間センサーは夢ちゃんしか反応しない。」
「冗談だって。酔っ払いみたいな下ネタやめてよ。」
「にゃはっ♪知らない人に付いてっちゃダメだよ?」
「付いてくわけないでしょ。」
蜂楽との他愛ない会話が、少しずつ私の心を解してくれる。
年に一度しかない誕生日なのに
元気を貰ってるのは私のほう。
やっぱり蜂楽は……悲しいくらい、優しいね。
蜂楽家の物置から借りてきた、ポップアップ式のテントから海水浴を楽しむ人達を見る。
海デートのために塗ってきた、鮮やかなオレンジ色のペディキュアが浜辺に映える。
目に入る、足首のミサンガ。
黄色と白色の糸は……蜂楽と私だ。
この海で拾ったピンク色のシーグラス。
蜂楽はこの特別なモノを、私みたいだと言ってくれた。
「……本当にありがとうね、廻。私と一緒に、いてくれて。」
思わず溢れる独り言。
シーグラスを指先でスベスベと触る。
もし妊娠していたら……
どうするの、かな───。