第14章 ニセモノのやり方 ✢R18
蜂楽が入った湯船に浸かるだけでも、ちょっとドキドキ。
それでも温かい湯船はその興奮も疲れも、徐々に治めてくれる。
「(本当に、色々あったな…。)」
蜂楽と私は両想いだけど。
本当の、彼氏彼女の関係ではない。
もう本当の恋人になって、いっそ最後まで抱かれたいって、正直思ってはいる。
でも、この関係って?
今後はプラトニックな関係を保持するのかな?
いや、それはないか。
今さっきも、耳…攻められて……。
またこれから……
どんどんオプション追加されていく、とか?
“行為”のボーダーラインが、判らない。
“本当の恋人同士になれるまで…夢ちゃんのコト、待ってる。”
でも、さっきの蜂楽の言葉が、私を変えてくれる気がする。
まだ、自分のこと信じて良いんだって思える。
今は少しずつだけど、確実に前に進めてる。
私は蜂楽のように、自由になりたい。
失敗を恐れず、自分を貫ける強さが欲しい。
強くならないと、蜂楽に見合う恋人になんてなれないって解るから。
この“鉄の首輪”を完全に壊すまでは……
“ニセ彼女”が……私の場所かな。
「蜂楽、ありがとう。」
お風呂の中で、小さく小さく呟いた。
蜂楽と出会ってなければ、私は自分を取り戻そうとはしてなかった。
このまま親の思うがままに医学部に進学して…
一生、自分に嘘をついて生きていくことになっていた。
「(蜂楽、お腹すいてるよね。)」
夕飯のことが気になって、湯船から出る。
念のため鍵を掛けたお風呂のドアを解錠して、脱衣室に出た瞬間だった。
「やっほー♪また会えたね♡」
…………
……なんで……!!??