第14章 ニセモノのやり方 ✢
「……今週は、ホントに色々あったよね。」
そのままバックハグされる。
お風呂上がりの良い香りが、ふわっと漂う。
蜂楽の生まれたままの肉体が、自分に重なっているというこの状況。
知りうる範疇を超越した緊張感が、私を襲う。
「……。そ、だね……。」
サッカー部の試合を観に行って…
そのあとそういう雰囲気になったけど、色々すれ違って未遂で終わって…
お見舞いに来てくれた後から、トラウマがフラッシュバックしてて…
合宿前に蜂楽とは離れようと決心したら…
蝉川とのことを、知られてしまった。
今夜は誰かに尾けられて……メンタル疲労困憊。
「お疲れさまっした♪」
私が使っているボディソープやシャンプー、いつもの香りのはずなのに。
蜂楽本来のにおいと混ざり合って、まったく違う良い香りに変わってる。
「久しぶりに照れ散らかした夢ちゃん見れて…
元気な夢ちゃん見れて…
俺、安心した。」
耳朶を食まれる。
この一瞬で既に……体が熱い。
「……んっ」
「すぐ照れて赤くなる。俺が大好きな夢ちゃんのひとつ。」
「はぁっ…やっ…」
低く吐息混じりに喋りながら
ゆっくり耳に舌を挿し込まれる。
「おフロ…入っておいで…?夢♡」
私には刺激が強すぎるから
そうさせて、いただきます……。