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TNTになった俺と傷つかない少女2

第5章 そうして始まる


 そして俺は岩なのかなんなのか分からない灰色の扉の前に立ち、ミウはすぐそこに立つ。ミウの両親は離れたところにいてもらって、俺が自爆するのを待っていた。
「メンにぎゅっとしたらいいの?」
 恐らくこの緊張感を一ミリにも気づいていないミウが俺にそう聞いた。俺は頷いた。
「ああ。出来るだけ思いっ切りな」
「分かった!」
 両親の心境までは分からないが、ミウだけは楽しそうだった。こんな変な世界に来ても焦っているどころか嬉しそうだ。
 まぁ、ミウはこの状況をよく知らなくてもいいのかもしれないが。
「メーン!」
 ミウは俺の言葉をどう受け取ったのか、そう呼びながら助走をつけてこっちに向かってきた。そういえば、俺の自爆って衝撃の程度によって変化するんだっけ……?
 と考えている内にミウが俺の胸に飛び込んできた。感動的なシーン。俺が両腕を広げてミウを抱えるまでは。
 途端に頭の中から聞こえるシュッという音。
 あとは爆発するだけ。俺はミウが吹き飛ばないように胸にある小さな命をしっかりと抱き締めたが、傷つかない少女に果たして効果があるのかは分からない。
 とにかく俺の体は大きく空へ吹き飛び、再び地面に叩きつけられるように戻って来た時には爆煙は消えていて、ミウの両親に体を支えられていたということが分かった。
 そして、大きな扉に穴が空いたということも。
「こうやって協力して進むしかないようですね……」
 とミカエルが言いながら扉の先を見つめている。扉の向こうには、早速物騒なものがチラついていたのだ。
「行きましょう」
 そう言ったサムットの声を合図に、俺はミウの手を引いて進み始めた。やはりミウだけが楽しそうにスキップをしていた。
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