第30章 クリスタの行方
「あの、クリスタは……」
体が動かせるようになった時、ずっとそばで看病してくれていたミウ一家に問い掛けた。ミウは俺のいるベットで眠っていて、サムットもうつらうつらとしていた。だからミカエルが答えた。
「全てなくなりました。あのクリスタが、全てのクリスタと繋がっていたみたいです」
「そう、すか……」
あの時は衝動的に「クリスタを壊す」と言い切ってしまったが、果たしてそれが本当に正しかったかどうか俺には分からない。俺は俯き、ミウの頭を撫でた。
「でもいいんです、ミウが無事なら」とミカエルは言い、優しく微笑んだ。「クリスタ一家は、最初からなかったんです。そういうことにしましょう」
「そうっすね」
ミウのためには正しいことはした。世間から何を言われようとも、俺は。