第29章 その後
あとから聞いた話だと、月が爆発したのだそうだ。
どこが出口かも分からないまま、サムットとミカエルは俺とミウを連れて空気歩行し続けていたのだと。
月の中には、特大サイズのクリスタがあったらしい。鍛えられたクリスタ一家ならそばにあるだけなら耐えられるが、クリスタを含む攻撃はそれはもう強烈な一発となるらしく、あの筋肉じぃさん……えーっと、名前はなんだっけ。忘れたが、とにかく倒せたってことみたいだ。
にしても、呆気なく終わったな。
いや、すぐ片付いたのはいいんだが。映画やアニメみたいにドラマチックなシーンが何度も繰り返してなかなか結末が来ない、ということではなさそうだ。やはり、現実は現実なのだ。
そんな俺はミウたちの世界の病院で目が覚めた。視界に飛び込む漢字のようで漢字ではない異世界文字以外、俺のいる世界とほぼ変わらないから見分けがつかなかったが。
クリスタは破壊され、多少の衝撃で自爆する俺の治療は大変だったみたいだが、その病院がそもそも「異能力者専門」だったらしく、なんとか無事だった。