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TNTになった俺と傷つかない少女2

第27章 ヒーロー


「パパ! ママ!」
 こういう時に現れるヒーローは、いつだってカッコイイ。
 俺たちと筋肉じぃさんの間に飛び込んできたのは、ミウが言った通り、サムットとミカエルだった。
「何っ……お前らのことはジンに任せたはず……!」
 と筋肉じぃさんは狼狽えた。
「村長はお縄にしましたよ」
「大丈夫です。息はありますから」
 サムットとミカエルはそう答えながらも体勢を少しも崩さなかった。今にでも襲いかかれそうな姿勢だ。
「……ふんっ、所詮五十、六十の人間だ。今更一人二人が増えたところで容赦はしない!」筋肉じぃさんは拳を振り上げた。「立ち去れぇい!」
 ドゴン、とじぃさんはなぜか地面を殴った。
 殴られた地面から瓦礫が飛び散り、サムットとミカエルは易々と破壊して防いだが、じぃさんの狙いはそこじゃない。……こっちだ!
「そのガキだけあればいい!」
 とじぃさんが飛び込んできたので、俺は咄嗟にミウを横に左手だけで応戦しようとした。だが圧倒的に体格差も筋肉もない。俺は痛みを覚悟したが、呻き声をあげたのは向こうだった。
「うおっ?! 何を……!?」
「は……?」
 俺も何が起きたか分からなかった。俺よりも数倍あるじぃさんが、なぜか吹き飛ばされたようにそこで倒れている。俺は左手を突き出しただけ……。
「あ」
 左手で握っていたものに気づいて俺はよく見てみた。そうだった。俺はミウから、クリスタを渡されていたのだ。
 そこからの理解はもう早かった。クリスタ一家はクリスタには近づけない。あの時どう爆発したのか分からないが、こんな小さな欠片でこのじぃさんを倒せるならなんでも良かった。
「ミウ、すこーしここにいてな?」
「うん」
 俺はミウを下ろした。それからじぃさんを見やると、わずかに怯えた顔をした気がした。
「これは、ミウを怖がらせた分だ!」
「や、やめろ!」
 俺はクリスタを利き手に持ち替え、思い切りじぃさんを殴ってやった。じぃさんはすっかり怯え、ほとんど反撃はしてこなかった。

 ドゴーン……!!

 俺が握っていたクリスタは爆発し、間もなく俺も爆発した。
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