• テキストサイズ

TNTになった俺と傷つかない少女2

第24章 夢のような


「嫌だ! パパとママから離れないもん!」
 これは多分、というか間違いなくミウのワガママだ。
 だがここでミウの言葉を否定したら、またさっきみたいによく分からない強い力で辺りをめちゃくちゃにされるのかもしれない。俺はきっと、ここでミウを守らなきゃいけねぇ。世界とかクリスタとかどうでもいいが、こんな小さい子どもを放って置ける程人間出来ていない。
 ……ん? クリスタ?
 俺はもう一度辺りを見回した。どこもかしこも白い壁だらけで見たところのない場所にいることが分かるが、俺が知りたかったのはそこではない。
「ミウ、クリスタのある場所が分かるか?」
 俺は小声で訊ねてみた。ミウはきょとんとしながらも頷いた。
「ここはクリスタの力で出来てるから」
「よし、じゃあ……」
 俺はミウを抱えた。今からミウには道案内をしてもらう。まずはどっちに行ったらいいんだ?
「上」
「え」
「上の方にあるよ」
 ミウは仕切りに天井を指した。
 天井。俺たちが今いるところは四方向壁に囲まれているが天井は空いていて白い空のようなものが広がっていた。もっとも、俺が見上げているものが空かどうか分からないが。
 俺はサムットとミカエルの方を見やる。彼らはまだじぃさんと攻防を繰り広げていた。彼らに手を借りるのは難しいだろうか。
「サムットさん、ミカエルさん! 俺たちを上に飛ばせますか!」
 俺は口早にそう言ってみた。二人はそれぞれ、何を言い出しているんだという顔をしたが、説明している時間はない。
「何をしようとしている……!」
 大きな声を出したからだ。戦闘中のじぃさんも俺の方に視線を投げ、今まさに飛びかかってきそうな体勢を取った。俺はミウを抱えて後ずさる。
「させないわ!」
 そこにミカエルの蹴りが飛び、じぃさんを薙ぎ倒した。じぃさんが立ち上がるのを待たずにサムットが俺の手首を掴む。
「ミウを頼みました!」
「え、パパ?!」
 サムットがこれから何をしようとしているのか、俺に抱えられるばかりだったミウもようやく気づいたみたいだ。ミウは騒ぎ出したが俺はしっかりと抱え、サムットに振り回された後に高く空へと吹き飛ばされた。
「ねぇ、メン、どこ行くの?!」
 半泣き顔でミウが俺の胸の中で暴れ始めた。俺は一言、こう答えた。
「クリスタを壊しにいく」
/ 54ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp