第3章 石版
「ねぇ、お話まだー?」
一方のミウは、話を聞いているばかりじゃ飽きたのか、その場に座り込んで砂弄りを始めている。ミウは灰色の砂を持ち上げては地面に落とし、更には不思議な力で砂の輪を作って遊んでいた。
「なんで俺もこんなところに呼び出されたんだ……?」
ミウは超人的な力がある。それは前に何度も見てきたことだ。そのミウの両親ともなると、三人で事足りそうなのだが……その理由を、ミカエルは説明した。
「多分、あの扉は貴方の力でしか開かないのだと思います」
とミカエルが指した先には、灰色の大きな扉。こんなにデカイのは巨人族しか使わないって程大きな扉で、確かに叩いた程度では開きそうにない。近づいてみるとその大きさがよく分かる。
「先程力を込めて蹴ってみましたが、僕たちの力を弾くみたいなんです」
とサムットが言うなり扉を蹴り始めた。人間そういう動き出来たんだっけ? というくらいサムットは素早く片足ずつ蹴ったが、扉はビクともしない。
「ミウの力でも……?」
「やだぁ! そのドア言うこと聞かないから嫌い!」
念の為に俺がそう口にすると、駄々をこねるみたいにミウが騒ぎ出した。俺は一瞬思案した。……相当面倒なことに巻き込まれたかも。
「そういうことなので、メンさんとお力を合わせてここから脱出をしたいと思っているんです」
とミカエルが言い、俺の答えは一つしかないのだが。
「それしかないみたいっすね……」
だけど、ここから脱出したらどっかの世界を救いに行かなきゃなんだよな?
どっちにしろ面倒くせ〜……。