第22章 隠された真相
「ハルバルド様」
と村長がまた新たな登場人物の名前を口にした。誰なのかと目でサムットとミカエルに問いかけるも、二人とも首を傾げるばかりで知らない人物のようだ。
バチッ! と、雷が光ったような音がして俺は素早くミウを後ろにして見上げると、何もなかったはずの壁に黒い誰かの影が浮かび上がっていた。
「神の生まれ変わりの子はまだか……」
黒い影は現れるなり嗄れたような声でそう問いただした。村長はますます低く頭を下げながら、黒い影に応えた。
「申し訳ございません、ハルバルド様。どうやら、神の生まれ変わりの子どもの親が、姑息な手段を使ってこの里を出たようで……」
「言い訳など聞きたくないわい!」怒声が村長の言葉を遮る。「このまま我が死んでもいいというのか!? 神の生まれ変わりの血がなくては、クリスタ一家は終わりだぞ!」
「は、はい……! それは承知の上です……」
血? 終わり?
そんな言葉の羅列ばかり聞いて俺は不穏さを感じずにはいられなかったが、しまった。これをミウに聞かせるのはマズイのでは……。
俺はミウへと目を向けた。ミウの顔は、あまりいいものではなかった。
「このおじぃさん、何を言ってるの……?」
ようやく出たミウの言葉。俺はなんて言ったらいいのか頭をフル回転させた。
「神の生まれ変わりの子は、必ず親から切り離せよ。サムットとミカエルは昔から厄介な能力者だからな……」
「そんなこと言わないで……」
謎の黒い影の発言に、ミウは呟くようにそう言った。俺は、ミウの耳を塞ごうとした。
「ミウ、アイツらの話なんて聞かなくても……」
「嫌だ……イヤだ!! パパとママから離れないもん! メンも皆もいなくならないで! イヤダイヤダイヤダ!!!!」