• テキストサイズ

TNTになった俺と傷つかない少女2

第22章 隠された真相


 少し元気の出たミウは、俺と手を繋いで自分の足で階段を歩き始めた。
 ミウがサムットとミカエルの方に行かなかったのはなんとなく分かる気がした。二人は、ずっと重い顔をして言葉数が少なくなっていたからだ。
 それにつられてか、ミウもあまり喋らなかった。といっても、ミウはあの時も落ち着いてくるとそんなに喋るような子どもじゃなかった。……いや、大人の何かを察している時点で、子どもでいられなくなってしまったのかもしれないが。
 俺がミウくらいの時は何してたっけな。多分遊んでたな。
「ミウは偉いな」
 と思わず呟くと、ミウが俺の方を見上げてきた。
「なぁに、メン」
 どうやら聞こえていなかったみたいで、きょとん顔のミウがそこにいる。もう一度言うのもなんだか恥ずかしくなってきて、俺は言葉の代わりにミウの頭をぽんぽんと撫でた。
「なんでもない」
 と付け足して。
 そうこうとしている内に階段を上がり切り、目の前に大きなクリスタが飛び込んできた。階段下からでもチラチラと見えてはいたが、こうして近づくとかなりデカイ。
 そして色は白色で、辺りが暗い洞窟というのもあり、やたら眩しく見えるみたいだった。これが価値のある宝石だったら、なんとしてでも盗みたくなるものだろう。
 だがサムットとミカエルはそんなクリスタには目もくれないでそこにいる村長へ視線を向け続けていた。この村長、結構な老人に見えるのに階段を上がり切っても全く息が切れていない。
 と、村長がクリスタの横を通り抜けて奥にある扉へ向かった。俺たちも急いでその扉へ向かうと、その先にはマグマが垂れ流れている大部屋となっていた。
「ここは……」
 俺が辺りを見回すと、サムットが答えてくれた。
「代々、村長しか入れない部屋です。まさか、こうなっていたとは……」
 シキタリとか代々とか、決まりの多い一家なんだな、と俺はどこか他人事みたいに思いながらも、村長の行動を見張った。村長は垂れ流れているマグマの前に膝をつき、何もないはずの奥の壁に向かって深々と頭を下げた。
/ 54ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp