第21章 絡み合う陰謀
「ミウ、クリスタのところに行くか?」
俺はミウに聞いてみた。ミウはゆっくりとこちらを見上げた。ミウの眉はずっと垂れ下がったまま、黒い瞳が俺の目を見つめる。
「うん。メンと一緒なら行く」
ミウの回答はそれだけだった。なんだって俺にそんな信頼を寄せているのか分からないが、ミウは普通の子どもじゃない。もしかしたら、ここから先、俺の力が必要になるのかもしれない。それとも、ただのミウのワガママか。
「すみません、メンさん。ミウがワガママを……」
「いえ、大丈夫すよ」ミカエルが謝ってきたが、俺はすでに腹は括っていた。「どっちにしろ、俺も行くしかなさそうなんで」
よし、行くか、と俺が言うと、ミウはようやくここでわずかに笑った気がした。ミウはずっと、緊張していたのだ。
「大丈夫だからな、ミウ」
何が大丈夫なのか、俺にも分からないままそう言った。だけど、ミウはこくんと頷いて。
「うん」
子どもが成長をする感じって、きっとこんなふうなんだろなと、俺は適当なことを思った。