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TNTになった俺と傷つかない少女2

第19章 ゲートの先


「あの神様の生まれ変わり、親がクリスタ一家の掟を破ってここから抜け出したらしい」
「それ本当かよ? 俺たちクリスタ一家から逃げ出すことがどういうことなのか分かってないのか?」
 そう口々に言いながら男たちは各々住居に入って行った。俺はどういうことか分からずにサムットとミカエルへ目を向ける。二人も困惑の表情を浮かべていた。
「どういうことなのか、僕たちには何がなんだか……」
「でもここが、私たちがかつて住んでいたことには間違いはないはずなのですが……」
「ねぇ、パパ、ママ」
 その時、今まで俺に抱えられたまま大人しくしていたミウが唐突に話し出した。ミウは広場の奥にある、長い長い階段の方向を指差した。
「クリスタ、壊したらダメ?」
「え……」
 俺はミウの発言に驚いたが、それ以上に驚いていたのは他でもない、サムットとミカエルだった。
「そんなこと、したらどうなるか分かっているのか、ミウ!」
 とサムットは怒鳴り、
「まさか、ここに私たちを連れてきたのはミウだったの……?!」
 とミカエルは甲高い声をあげる。
「あたし悪くないもん!」
 一方のミウはそう吐き捨てるなり俺の胸に顔を埋めて反論しなかった。俺の服を掴むミウの手の力がますます強くなっている。ミウは、震えていた。
「まぁ、少し落ち着きましょう、お二人とも」俺は完全に胃痛ポジだなぁと思いながら二人にそう言った。「ここは多分、過去のクリスタ一家の住居ってことっすよね? だとしたら今の内に、俺たちをここに連れ込んだのが誰なのか、手掛かりを探すだけでも無駄じゃないかもです」
 よそ者の俺が何を言ってるんだと俺は内心ではそう思ったが、サムットとミカエルを説得するには充分な言葉だったみたいだ。二人はそうだなと頷いてくれた。胸にいるミウが少し落ち着いた気がした。
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