第19章 ゲートの先
「ここは……」
いかにも怪しい真っ黒なゲートをくぐった先に広がっていたのは、洞窟のようなところだった。黒っぽい土の地面に固めた粘土のような壁。天井は暗くてよく見えないが、某ゲームのような鍾乳石が垂れ下がっているところから、ここは鍾乳洞のような気がした。
「まさか、そんな……」
と震えた声を上げたのは、俺より少し前にいたミカエルだった。見るとサムットの顔も強張っている。
「ここは……僕たちの故郷です」とサムットが説明をした。「まさか試練の間の真下が住居になっていたなんて……」
見渡すと確かに、ちらほらと見える明かりから、窓や扉のようなものがあった。中央は広場になっていて、階段状になっている段一つ一つが住居になっているように見える。
「てかさ、知ってたか?」
話し声が飛び込んできて俺たちは慌てた。二人の男性がこちらに向かって歩いてきていたのだ。早くどこかに隠れよう、と二人が言って俺はゲートへ引き返そうとしたが、なんてことだ。さっき通ってきたゲートは跡形もなく消えていたのだ!
「隠れるところなんて……」
ない、と言い切らない内に、こちらに向かって歩いてきた人物が俺たちの体を避けることもなくすり抜けてゾッとした。そして男たちは構わず話を続けた。