第2章 状況
「はぁ〜〜……」
状況を理解し始めて、俺は特大ため息をついた。
よく考えなくても、今の俺のこの格好が全てを物語っていた。俺は赤い格好をしていた……つまり、あのゲーム世界と同じTNTのスキンと全く同じ服装だ。
俺は眠い体に鞭を打って立ち上がった。周りの景色は、ザ・異世界と分かるくらい主張が激しいということが分かる。
まず、どこを見渡しても白と灰色なのだ。自分がいるところも灰色の地面、他は空なのか天井なのか見分けもつかない白が広がっていた。
そしてその白い景色の中に、球体が灰色っぽい輪郭を作ってあちこちに浮いている。球体の大きさはまちまちで、小さいのもあれば大きいのもある。といっても遠近感覚が狂いそうなこの世界で、小さい球体が本当に小さいのかは定かではない。
最後に、俺は周りにいる人物たちを見やった。こちらを丸い目で見つめているのはミウで、初めて会った時よりバッサリと髪の毛を切ってショートカットになっていた。服装も、前は白いワンピースでどこか儚げに見えたのに、今はゆったりとした赤いズボンに黄色い半袖を着ていてカラフルだ。
って少女一人を観察している場合ではない。そうなるとこの二人の男女は誰なんだと見やると、察したのか女性の方から先に話し出した。
「お久しぶりです……といっても、覚えていないですかね」と女性は話し続ける。「ミウの母です。ミカエルといいます」
「僕は、ミウの父のサムット。あの時は、お世話になりました」
「どうも、MENです……」
と反射的に俺は挨拶を返したが、なるほど。少しずつ状況が読めてきた。
俺はどうやら、ミウとその両親と一緒にこの訳の分からない世界にいるらしい。