第1章 再び
「メン……ねぇ、メン、起きてってば!」
「んあ……?」
あまり聞き慣れない黄色い声に起こされなんとか目を開けると、視界に子どもの顔が飛び込んで来て俺は驚いた。
まだ眠かったしどうせ寝ぼけているんだろうと上体だけ起こして瞼をこすっていると、また別の声が飛び込んで来た。
「ようやく目覚めたのですね……メンさん」
「は……?」
思わずそんな変な返事をしながら顔を上げると、大人っぽい女性の顔が見えてきて俺はわずかに後ずさってしまった。誰この人、俺の知り合いの顔でもないんだが。
「説明するも何も、私たちもよく分からないのだが……」ともう一つ男性の声が割って入って来た。「どうやら我々は、誰かの仕業によって奇妙な世界に連れ込まれたようだ」
「え……は……?」
俺の頭はまだハッキリとしない。何を言ってるんだ、この人たち。てかこの男女と目の前の子どもは誰……。
「メン?」
誰なのか、と聞こうとして、俺の名前を呼び掛けた目の前の子どもと目が合う。ちょっと待て。俺はこの子どもに会ったことがあるぞ。しかも夢の中で。なんなら異世界で。
「……ミウ?」
俺がようやくその名前を出すと、目の前の少女の顔がぱっと明るくなった。
「そうだよ、メン! 覚えてたんだね!」
そりゃあまぁ、あのぶっ飛んだ世界のことだったからな……ってことはもしかして、今の俺って……。
『TNTになった俺と傷つかない少女2』