第14章 そして再び
バタン!
大きな音がしたと思いきや、俺は空中ではなく、白い床の上に立っていた。
後ろには灰色の扉、そして目の前には長い長い白い壁と天井の廊下。もしかしてここは……と考えている間もなく、俺の足元で何かが走り抜けた。
「ミウ、いきなりどうしたの?!」
とミカエルが飛び出してきて俺はようやく理解した。俺とミウは、あの廊下を歩いていた時間までタイムスリップしてきたのだ。だとしたら、この廊下の先には爆発する何かの罠があるのではないか。ミウは多分寝ていたから知らないのだ。早く追い掛けなくては。
「俺が追います! そこで待ってて下さい!」
俺はミカエルにそう伝えて走り出した。いくら傷つかないミウだとしても、何も知らずに罠に向かうなんて無鉄砲だ。
追いかけたところでどうするかなんて後で考えることにした。まずはミウに追いついて止めなくては。それだけを考えて走った。
「ミウ!」
しばらく走って、赤と黄色のその姿を発見した。白と灰色しかない空間の中で、その格好をしたミウの姿は遠目からでもよく分かった。
「メン」
ミウはこちらを振り向いた。ミウは行き止まりの部屋の真ん中で突っ立っている。
「どうした……?」
と俺が近づくと、ミウは何も言わずに目の前にある何かを見つめた。赤く光る石のようなものがそこに浮かんでいる。俺は直感的に、爆発したのはソレだと思った。
「それ以上近づかない方が……」
「これ、クリスタだよ」俺の言葉を遮ってミウが言う。「あたし、初めて見た」
「クリスタ……」
それはさっき時間が巻き戻る前にも言っていたことだ。ミウはなぜ、初めて見たもののことを知っているのか。聞いたところで、ミウにも分からないことなのだろうが、それから離れた方がいいことだけは分かる。
しかしミウは、俺が止めるより早く赤いクリスタとやらに近づいた。おい、ちょっと待てと言いかけたが、ミウが近づくとクリスタは赤から青に光り、普通に手で持ったのだ。