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TNTになった俺と傷つかない少女2

第12章 ひとときからの


 部屋に下りて扉を開けると、そこから長い通路が一本だけ続いていた。
 試練の間というのにあまりにも静かだ。普通は次から次へとトラブルとかが起きそうなものだが……と俺が考えていると、ミカエルがふと話し始めた。
「それにしても、この謎の空間に巻き込まれたのが、メンさんと一緒だったのはありがたいです」
「え」
 俺は何もしていないのに、と思ったのだが、ミカエルは更に話し続けた。
「ミウ、ずっと貴方のことを覚えていましたよ。絵とか描いて、よくメンさんの話をしてくれました」
「そうだったんすか」
 あんなに連れ回して、最後は酷いもの見せちまったのに。それでも想ってくれる人がいたのは、素直に嬉しかった。
「ミウ、赤色が好きなんですよ。赤は貴方を思い出すからなんですね」
「ああ……」
 ミカエルの視線に俺は自分の服装を見てみる。今俺はいつかのゲーム企画でやったTNTスキンそっくりな格好をしていた。それからミウの服装を見ると、確かに赤いズボンを履いている。
「てっきり、黄色が好きなんだと思ってましたよ。ずっとタンポポの話してたんで」
 俺だって、忘れていない。最後に貰ったタンポポの花輪。
 あのあとタンポポはすっかり萎れてしまって、ほとんどがダメになってしまって捨ててしまっていた。押し花に出来ないもんかと色々やってみて、ちゃんと出来たのは一輪だけだったのでそれをどこかには置いていたはず。あー、どこにやったんだっけな。
「タンポポも好きなんですよ。私が花輪を教えたことを覚えていてくれてて」
「ミカエルさんが教えたんですね」
「ミウは、なんでも出来るんです。そういう力を持ってるから……」と言って抱えられてるミウを見つめるミカエルは少し悲しげだった。「だから、少し周りと浮いてました。ミウを理解してくれる子もいなくて……」
 分からなくもない。周りと違うことが出来る人はどちらにせよ目立つ。それがいつものメンバーたちと姿が重なって、俺は他人事のように思えなくなっていた。
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