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TNTになった俺と傷つかない少女2

第10章 深まる謎


「ゾンビが砂に……?」
 俺は早速、サムットとミカエルに先程見たものをそのまま伝えた。ゾンビが砂になったなんて信じ難い話だが、そもそもゾンビの存在自体ファンタジーだ。俺は自分の言っていることすら嘘なんじゃないかと思えてきていた。
「話はミウからも聞きました……まさか、離れ離れになるとは思わなくて、すみません」
 とミカエルが謝る。この人、ずっと謝ってばかりだ。
「いや、俺も予想外だったっすから……」
 そもそも、この状況は誰のせいなのか。俺は考えたがさっぱり検討もつかない。
 俺は目を上げてミウの力でせき止めた水道管の隙間を観察する。水も不思議とどこかへ消え、あとには砂の山があちこちに残るだけとなった部屋は、妙に静かで不気味だった。
 サムットとミカエルは、俺たちと分断されたあと、何か道がないかと探していたところにミウが壁をこじ開けて天井を通ってきたらしい。話を聞くとミウはまだ未熟なのかなんなのか、自分以外の人や動物など動くものを浮かべたりする力はないのだと言う。
 だからサムットとミカエルは、天井裏にあった短いロープを繋ぎ合わせてこの部屋に下りて来ていた。
「ただ、もしまたゾンビのような敵が来た時、水が弱点というのは貴重な情報かもしれませんね」
 とサムットが言う。それもそうだ。
「まず、ここから脱出する方法を探しましょう。天井裏がどこかに繋がっていそうなので……」
「あたし、眠くなってきちゃった……」
 ミカエルの言葉を遮るようにミウの声が割り込む。しかしその声に元気はなく、床に座り込んでウトウトしているミウの姿があった。
 ここまでどれくらいの時間が経ったのか分からないが、ミウは特に不思議な力を使うから、体力の消耗も激しいのだろう。しかもまだ六歳かその辺りだったはずだ。少し休むべきなのかもしれない。
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