第3章 デート(仮)
お土産屋さんを出ると外は陽が暮れて色とりどりのイルミネーションが点灯していた。
「うわぁ…キレイ…」
私はしばらくイルミネーションを見上げていた。
夢の中にいるみたい。
私が子供の時から大好きなファンタジー小説の魔法の世界にいるみたい。
逢坂くんにその話をしたかったけど、ちょっと恥ずかしいからやめた。
「手をつないでいい?」
「えっ?」
彼の声で我にかえる。
彼があわてて続ける。
「あ、ほら。設定…両想いだから…」
なぁんだ、設定かぁ。
でもいいんだ。
ここは夢の世界だから。
「いいよ」
私がそう言うと、彼は遠慮がちにそっと私の手を握った
私も彼の手をそっと握り返した。
暖かくて優しい手。
私たちは見つめあって少し笑った。
彼の小説の中のヒロインは今どんな気持ちなんだろう。
今の私は…とっても幸せ。