第11章 ラブ!
部屋に入る。
意外とシンプルというか、普通のお洒落な部屋っぽい。
私はちょっと安心した。
ソファに荷物を置いてとりあえず座る。
「ねぇ、お風呂とか見に行ってみよう?」
彼が私の手を引っ張る。
彼が照れ隠しではしゃいでるのか、本気ではしゃいでるのかよくわからない。
彼に連れられてお風呂場を覗く。
「広いねぇ」
私は見たままの感想を言う。
「ね?広いから一緒に入られるね」
彼がニコニコする。
「いや…一緒にはちょっと…」
「そう…だね…」
彼がちょっとがっかりする。
その後、冷蔵庫とかテレビとかベッドとか照明とか一通り楽しそうに点検する。
やっぱ小説とか書いてる人ってこういう新しい経験ワクワクするのかな。
…
ソファでお茶を飲む。無料の。
「ドーナツ食べる?」
彼が紙袋を差し出す。
「うん。ありがとう」
私はホワイトチョコのを選ぶ。
「甘いね」
「ニューヨークだから?」
バカみたいな感想を言いあって笑う。
…
なぜか落ち着いたら、また緊張してきてしまった。
ドーナツがお腹に入っていかない…。
食べかけのドーナツを紙ナプキンの上に置く。
「あれ?もういいの?」
彼が不思議そうに尋ねる。
「うん…。なんか緊張してきちゃって…」
私は正直に答える。
「じゃあ先にシャワー浴びてきたら?」
彼がドーナツをかじりながら平然と言う。
「えっ!」
びっくりした私に彼もちょっとびっくりする。
「あっ、いや、ちがっ…。リラックス出来るかなと思って。夕方まで時間はたくさんあるし」
彼が慌てて言う。
「そうだよね…。うん、そうする」
私はエヘヘと笑いながらお風呂場に逃げる。
意識し過ぎだよね。ヤバイ、なんか私の方がやらしい。