第11章 ラブ!
駅を出て繁華街のちょっと裏。
私達が向かうのはラブホ街。
逢坂くんの小説の参考に…という名目で。
昼間のラブホ街…。
意外とチラホラ人が歩いている。
自転車のおじさんとかもいる。
「ね、行くとこ決まってるの?」
私が緊張に負けて不安を口に出す。
「うん。ちゃんとネットで調べてきたから」
逢坂くんがニコニコと答える。
彼が私の手を握る。
「こっち」
彼に連れられて建物に入る。
ロビーのような場所に部屋の写真のパネル。
「部屋…僕が決めていい?」
「うん」
私はただ頷くだけ。
「5階だよ」
「へー」
エレベーターに乗る。
「……」
「緊張してるの?」
黙り込む私に彼が尋ねる。
「…うん」
「大丈夫だよ」
彼が私の手をギュッと握ってニコニコする。
もしかして逢坂くんも緊張してるのかな…。